日銀がマイナス金利解除を決定し、住宅ローンなど生活に影響する事とは

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3月15日に日銀が18日、19日に開く金融政策会合で、マイナス金利政策の解除を決定する方針となりました。日本は17年分ぶりに実質的な利上げとなり、経済にとって大きな第一歩を踏み出す事となりました。

日経平均株価最高値の更新、大企業をはじめとした賃上げの実績により下地を作り、今度は経済にとってはマイナス要因となり得る大決定を行いました。

今回の日銀総裁である植田氏の大きな功績として、国内外の金融市場に対して折り込ませた事だと考えております。

経緯を辿ると、昨年2023年2月の日銀総裁就任決定時に本来は当時の副総裁であった雨宮氏が総裁になる予定でしたが、本人は辞退しました。

その内容で最も課題として考えられたのがマイナス金利の解除という施策でした。

理由として借金のある方を対象として、住宅ローンのある個人、それに支えられた不動産市場、そして企業の設備投資にとって金利が仮に1%でも増えると利払いの負担が過大になり大混乱になると考えられました。

1980年後半における経済の停滞のきっかけとなったバブル崩壊は利上げと増税の影響と言われており、日本はそれに伴い40年間の長期低迷を迎えました。

そして、利上げをするということは過去の経験を省みると、株式市場や不動産市場が大暴落を起こすという思い込みがありました。

経済がどんなに成長しても、日経平均株価が40年間も最高値を更新しなかった理由だと考えております。

しかし、円安による企業の好業績、新NISA制度や優良な投資信託の出現により、再び投資意欲が活性化し、金融市場は活況となりました。

そして、日銀会合ではマイナス金利を解除しなくても、毎回するかのような植田総裁の振る舞いによって市場では利上げを前提とした織り込みが1年間をかけて熟成されたのです。

現在の市場関係者の多くは利上げを前提に投資をしているので、一時的な下落があっても大暴落は起きないと考えられます。

しかし、それは市場関係者=プロ投資家の話であって、一般の個人には住宅ローンでかなり重い足枷が発生する可能性があります。

住宅ローンをするのが当たり前であるかのように出版物が出されておりますが、住宅ローンは立派な借金です。

住宅を販売してくれた不動産業社は家を買って欲しいので「皆さんも住宅ローンを組まれています。」などの最低限の事しか説明しませんし、融資実行する銀行も“フラット35”などの商品名と法令に基づくリスク説明のみで、顕在する本当のリスクまではわざわざ説明しません。

都心を初めとしたマンション価格は既にバブル価格です。比較的安定しているという日本の住宅価格がたった10年間で2倍近くまで値上がりしています。

住宅価格の高騰は需給バランスの需要が集中しているわけですが、これはあくまで従来の低金利を前提とした価格設定となっています。

例えば、5,000万円の家を購入した方が金利1%増加するだけで、下記のように実質的な支払い金額に差ができてしまいます。

総額1,000万円単位で利払い金額が変わりますし、仮に金利が更に1%増加すると2,000万円ほど総額が変わります。現在、アメリカの住宅ローンは年利6%超(日本もバブル崩壊前は同水準)なので人生計画が大きく変わる可能性があります。

銀行は口座に預けられている預金の他に日銀からお金を借りてきて融資しています。

マイナス金利が解除されて利上げされるという事は銀行の調達金利(銀行が日銀が支払う利払い)が増加する事になるので、当然価格転嫁されて住宅ローンでお金を借りている人に追加で利払い発生します。

それはつまり、実質的な不動産価格(住宅+ローン)の値上がりになるので、今度は動かす事ができる住宅価格を下落させる需給バランスが発生します。

つまり、間近2、3年で家を購入して変動金利で住宅ローンを組んだ方は、購入した住宅価格下落リスクと利払い増額のダブルパンチが発生する可能性があります。

先に説明した通り、住宅価格は住宅ローンの金利の利率と負の相関関係にあるので、住宅価格が10年近くかけて下落する可能性が高いのです。

既にマイナス解除のニュースが流れた3月15日の国債市場では金利が上昇したという事も早速報道されています。今後は注視していかなければなりません。

〔マーケットアイ〕金利:国債先物は続落、長期金利3カ月ぶり高水準 米金利上昇や日銀政策修正観測で
<11:17> 国債先物は続落、長期金利3カ月ぶり高水準 米金利上昇や日銀政策修正観測で

実は政府はしっかりと誘導しており、住宅ローンへの対策として敢えて政府が各企業に対して賃上げを要求している背景があると考えています。

そして、今後は非正規雇用や給与が上げらないような会社で働く事自体が住宅ローンの利払い上昇に対して、リスクとなり得るという事です。

しかし、私は金利上昇によって日本人が従来強みにしていた勤勉に働く事を取り戻すきっかけになると考えており、それは長期で見ると良い事になりえるでしょう。

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